セルプ協の言い分は施設職員の我田引水、倫理観の欠如、とても障害者の支援している団体とは思えません。障害者は労働者と認めなくてよい。したがって障害者に最賃を払えない状態においても、ただでさえ少ない授産会計から職員の人件費や天井の照明や冷暖房費、賃貸料などの経費を支出しても構わないし(悪い言い方をすれば障害者が働いた工賃からのピンはねと言われてもしかたがありませんね)、最賃法等労働関係法違反にはならないと言っています。これは職員に都合がよい言い分で、とても障害者の視点に立っているとはいえません。法や制度どうあろうと、社会的な倫理観を持ち、まず障害者の視点に立ち、障害者と支援、擁護するのがセルプ協など施設の職員の役割ではないでしょうか。そうでなくて誰が障害者を守るのでしょうか。
 普通の倫理観をもっていれば、制度がどうあれ、障害者の工賃から職員の人件費等を支出しようなど考えないのでないでしょうか。
 


匿名さん、コメントありがとうございます。

確かに僕にも工賃から職員の人件費が出る形が、理想的であるとは思われません。職員の人件費は本来は公的な費用から全面的に支出されるべきであると思います。

しかし公金から充分な補助を支出するだけの、政治的なコンセンサスが得られていない現状では、工賃から人件費が支出されている状態を「ピンはね」と表現することが適切であるとも思いません。また利用者を労働者であると考えるならば、その売り上げの中から諸経費が支出され、残った分が分配されて賃金となるのは当然なのではないでしょうか。一般の企業がその売り上げの中から、光熱費を支払ったり、経営コンサルタントを雇う費用を出したり、清掃作業の外注費用を捻出したりしているのと、構図は同じです。赤字の企業ではサービス残業のせいで最賃が守られなかったり、給料の遅配があったり、倒産して支払われなかったり、ということもしばしば見られるのではないでしょうか。

現状は比喩的に言えば、障害者が自らの工賃で、ジョブコーチを雇用し、作業に従事しているという構図であるように思われます。また施設によっては工賃の実質を生む労働を(特に納期が迫った場合などには)、職員が自ら担っていることも少なくないようです。

福祉施設の職員が医師ほどの高給をもらっているということであれば、話は違ってくるのでしょうが、現状はむしろ福祉領域の労働者にも、最賃が保証されているのか、その検証が必要な程度の状態です。福祉領域の横断的な労働組合がない現状で、セルプ協などの団体が、福祉領域の労働者を保護するように運動することは、ある意味で健全な働きであると思います。

福祉領域の支援者には知識も経験も専門性も必要なく、3年かそこらで辞めていく使い捨ての若者でよい、と考えるのでなければ、福祉業界の収益構造を更に悪化させることで新たに得るものは何もありません。現状で工賃を全て利用者に分配し、その分職員の給与をカットしたとしても、一時的には利用者の手取りは増えるかもしれませんが、その姿は蛸が自分の足を食べているようなものでしょう。

最終的な運動の方向は,公金による補助を増やすことにつきると思います。当事者団体も,支援者の団体もそこに向けてひろく有権者の理解を求める活動を続けていくべきではないでしょうか。


afcp様
 ご返事ありがとうございます。私もこれまで複数の作業所の設立に関わってきましたので、作業所の現状は知っております(故に匿名とさせていただきます)。確かに、作業所への公的補助は少ないです(特に地方は)。それでも東京都の作業所への補助金なら努力すれば、授産会計に手をつけなくても経営して行けると思っています。

 「ピンはね」と悪い表現をあえて使ったのは、安易に授産会計に手をつけるべきでないと言いたいからです。「必要最小限度の経費」の意味をもっと深く、倫理的に理解して欲しいからです。ひとつ間違えばピンはねになってしまうこともあるのです(実際にそんな現場に出会い、何度か改善を求めましたが無視されています)。

 afcpさんは職員の給料などの労働条件を言われていますが、では障害者の給料や労働条件はどうなのでしょう。セルプ協の見解に「労働者性は生じないとの了解を得ている」とあるよう、ほとんどの作業所では利用者(障害者)を労働者とは認めていません。すなわち作業所で働く障害者は労働関係法による保護がされないということです。だから障害者の賃金は最賃法に遠く及びませんし、社会保険からも除外されています。労働関係法による保護がない環境では授産会計からは職員の人件費等を支出すべきでないと思っています。なぜなら、何の歯止めも無く、施設や職員のさじ加減で、読売新聞の記事にあったように「やりたい放題」になってしまう危険があるからです。

 afcpさんのおっしゃるように、一般の企業と同様に、作業者側が障害者を労働者と認め、労働関係法を遵守した上で授産会計から職員の人件費等を控除するのであれば望ましいことと思っています。以前、作業所の職員に「よい仕事を探して、障害者の工賃が最賃法をクリヤできるようにして欲しい。そうなれば、授産会計から職員の人件費を出しいていいと思う。それまでは授産会計に手をつけるべきではない」といったことがあります。

 もう一つ、障害者は施設や職員に対して極めて弱い立場にあります。セルプ協が言っているように「①授産施設などにおける利用者の『労働者性』②作業収入からの職員人件費の支払い」のような、障害者と施設、職員の間で利害が対立する問題では、障害者は誰からも守ってもらえないことになりかねません。作業所へ通っている障害者がWebの世界で意見を述べることはほとんどできないと思われます。だからあえて障害者の視点で意見を述べさせていただきました。


匿名様、ご返信ありがとうございます。
書かれているところはいちいち最もであると思いますし、匿名様の主張されている内容は、誰かが声を大にして言わなければならないことだと思います。ただその「誰か」はおそらくセルプ協ではないような気がします。

>「よい仕事を探して、障害者の工賃が最賃法をクリヤできるようにして欲しい。」
僕が普段関わっている重度精神遅滞を伴う自閉症の方などを想像しながら考えていくと、この要求をクリアできる職員というのは、相当の知識と経験と経営センスの持ち主ということになってきます。そんな一般企業からでもヘッドハンティングに来そうな人材が、何年間も最低賃金以下の給与で働いてくれるものでしょうか。あるいはそんな劣悪な労働条件の下で、必要な知識と経験を身につけるまで、何年も何年も働き続けられる人をどれだけ確保できるのでしょうか。

ピンはねに関して、おそらくそうしたことをやっている作業所はあるのだろうと思います。僕自身は直接見聞きしたことはないのですが、作業所の会計に関しては素人に毛が生えた程度にしかしらないので、きっとそうした悪質な施設はあるのでしょう。しかしそれは現在話題になっている構造的な問題とは別に考えるべきであると思います。良心的に運営すれば、たとえ重度の障害者を多数受け入れていても、授産会計に手を付けなくても済む、という体制を整えた後、はじめて「ピンはね」問題に取り組むべきでしょう。すくなくともセルプ協はそう主張すべきであると思います。

今回の神戸のケースに関して、報道を通じてわかっていることは、補助金は1400万円で職員は7人、ということです。「ピンはね」なしで運営していく方法を僕は思いつきません。あ、寄付金を募り続けると言う方法があるかもしれませんが…。

しかし一方で、匿名さんのコメントでは非常に重要な点に触れて頂いていると思います。それは障害者本人、特に知的障害、精神障害をもつ人には、声を上げることが非常に難しいということです。障害者本人のニーズは、しばしば福祉労働者とも家族とも衝突します。それは主に身体障害を持つ人達の活動を通して、徐々に世間に知られてきていることだと思いますが、精神でも知的でも構図は同じです。

で、あればこそ、セルプ協のような福祉提供側の団体とも、親の会とも違う、当事者視点を中心とした団体による活動をもっと広げていくべきではないでしょうか。そうした団体があってこそ健全な議論がなされるのだと思います。

そうした団体が力を持つまでのあいだ、確かに福祉労働者の団体などが、その代弁をすることが望ましいのかもしれません。しかしあくまでもその機能は代弁に過ぎず、それを声高に主張することをセルプ協などに求めることは、すこし酷なのではないでしょうか。


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